国税庁は、暗号資産取引により生じた利益は所得税の課税対象になり、原則として雑所得(その他雑所得)に区分されると説明しています。また「保有する暗号資産で商品を購入した場合、保有する暗号資産を譲渡したことになる」とも明記しています。クリプトカードでは「カード決済」「チャージ」「還元受取」「ステーブルコイン交換」が別々に発生するため、カード明細だけでなくウォレットと取引所の履歴を月次で保存するのが安全です。
2026年に入って日本の暗号資産制度はかなり動きましたが、2026年8月31日時点で、個人の暗号資産にかかる所得税のルール(原則として雑所得・総合課税)は変わっていません。話題になった20%の申告分離課税はまだ適用が始まっていないため、2026年分の確定申告は従来どおりの整理で準備することになります。詳しくは「制度の現在地」で分けて説明します。
画面で見る確認ポイント
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このページで確認すること
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少額利用、月5万円、年会費回収ライン、税金記録の手間を分けると、使うべきかが見えやすくなります。
条件が合えば公式画面へ、迷う場合は30秒診断か比較ページで候補を絞り込みます。
2026年8月時点の制度の現在地
2026年は「改正資金決済法の施行」「暗号資産の金商法への移管が決まったこと」「20%分離課税の創設」が短期間に重なり、ニュースの見出しだけを読むと今すぐ税金の計算方法が変わったように見えます。ただし成立・公布と、施行・適用開始は別です。2026年8月31日時点で確認できる範囲を、施行済みかどうかで分けて整理します。
「2026年7月に金商法へ移管された」は正確ではありません
金融庁が国会に提出した説明資料の「各改正事項の施行期日」では、改正事項のうち「1.暗号資産に係る規制の見直し」の施行時期は公布から1年以内の欄に置かれています(参議院の議案情報でも公布は令和8年7月23日・法律第64号と確認できます)。公布日が2026年7月23日ですので、暗号資産部分の施行は2027年になる見込みです。つまり2026年8月31日時点では移管が決まった(成立・公布された)段階であって、まだ施行されていません。「2026年7月に移管された」と書かれた解説を見かけたら、施行日を確認してみてください。
なお同じ改正法でも、金融商品取引法上の無登録業に対する罰則の引上げは公布の20日後(2026年8月12日)に施行されています。拘禁刑が5年以下から10年以下に、罰金が500万円以下から1,000万円以下に引き上げられました。ただしここは読み違えやすい部分です。金融庁の説明資料では、暗号資産の無登録業者がこの金商法の罰則(拘禁刑10年)の対象になるのは移管後とされており、それまでは資金決済法の拘禁刑3年のままです。「2026年8月から無登録の暗号資産業者が一律10年以下になった」わけではない、という理解が正確です。
また金融庁は2026年8月7日付の組織再編で「暗号資産・ステーブルコイン課」を新設しました(同日現在の幹部名簿に同課長が掲載されています)。監督が強まる方向であること自体は、無登録の海外事業者を使うかどうかを考えるときの材料になります。
20%分離課税を待って判断しないほうが安全です
「所得税法等の一部を改正する法律」(2026年3月31日成立・公布)で、特定暗号資産に係る譲渡所得等の課税の特例が創設されました(租税特別措置法に第38条の2・第38条の3として追加されています)。財務省の令和8年度税制改正の大綱(2025年12月26日閣議決定)では「他の所得と分離して20%(所得税15%、個人住民税5%)の税率により課税する」とされ、損失は翌年以後3年内の繰越控除が可能とされています。ただし適用開始は「金融商品取引法の改正法の施行の日の属する年の翌年の1月1日以後」に行う特定暗号資産の譲渡等からです。法律の附則も、金商法改正法の施行の日の属する年の翌年1月1日を起点にする形で書かれています。金商法改正の施行が2027年であれば2028年1月1日からという計算になりますが、施行日は政令で定められるため、開始時期は確定していません。
さらに注意したいのは対象範囲です。条文上、分離課税の対象は「暗号資産取引業者に対して」行う、「金融商品取引業者登録簿に登録されている暗号資産等」(特定暗号資産)の譲渡等に限られています。海外のクリプトカードで決済したときの暗号資産の使用がこれに当たるかどうかは、2026年8月31日時点で公式に示されていません。同じ改正では、総合課税の譲渡所得の基因となる暗号資産について、5年超保有の2分の1措置や譲渡所得の特別控除を適用せず、損失の損益通算も適用しないこととされています。これらも「金商法改正法の施行の日の属する年の翌年分以後の所得税」からの適用で、2026年分には及びません。「いずれ20%になるから」と考えて記録を省くのは危険で、今は従来どおりの前提で履歴を残しておくのが安全です。
消費税については、同じ大綱で「暗号資産の譲渡を有価証券に類するもの(現行:支払手段に類するもの)の譲渡として、引き続き消費税を非課税とする」とされています。位置づけの整理であって、カード決済のたびに消費税が上乗せされるようになる改正ではありません。こちらも適用は金商法改正法の施行の日の属する年の翌年1月1日以後に行われる暗号資産の譲渡等からです。
最低限残したい記録
- 利用日時、加盟店、支払金額、決済通貨
- 売却または交換された暗号資産の銘柄と数量
- 暗号資産の取得価額、利用時の換算レート
- カード会社・取引所・ウォレットの明細
- 手数料、スプレッド、キャッシュバックや還元の内容
譲渡原価は総平均法または移動平均法のうち選択した方法で計算し、届出をしていない個人は総平均法になると国税庁は説明しています。同じ銘柄を国内取引所と海外カードに分けて持っていると、この計算が一番崩れやすいところです。銘柄ごとに取得と払い出しを1本の表にまとめておくと後で楽になります。
所得区分についても補足があります。国税庁のFAQでは原則として雑所得(その他雑所得)としたうえで、その年の暗号資産取引に係る収入金額が300万円を超える場合は、帳簿書類の保存があれば原則として事業所得、保存がなければ原則として業務に係る雑所得に区分されるとしています。カード決済が多い方ほど帳簿の保存が意味を持つため、月次で残す習慣が効いてきます。
ケース別の考え方
国税庁は商品購入の決済に暗号資産を支払った例で、商品価額から譲渡原価を引いた額を所得としています。決済時の時価と取得価額の差を後から確認できるようにします。
付与タイミング、数量、評価額、取引所明細を保存する。
どのBTCをいくらで売却したかを追えるようにする。
JPYC、USDT、USDCでも取得経路と交換履歴を残します。国税庁FAQの電子決済手段に関する項目(3-2-1〜3-2-4)は法人税関係にしか置かれておらず、個人の所得税上の扱いを直接示した記載は確認できていません。
国税庁は、暗号資産交換業者から補償金を受け取った場合について「補償金と同額で暗号資産を売却したことにより金銭を得たのと同一の結果となる」として雑所得に区分されると説明しています(タックスアンサーNo.1525)。海外のカード発行基盤から受け取る補償が同じ扱いになるかは公式に示されていないため、受取日・数量・円換算額・補償の根拠になった通知を保存したうえで、金額が大きい場合は税理士にご確認ください。
月末にやるチェック
- カードアプリから月次明細またはスクリーンショットを保存する。
- 取引所から約定履歴、入出金履歴、年間取引報告書の対象になる履歴を保存する。
- オンチェーン送金はtxid、チェーン、送金元/送金先、手数料を表にする。
- 還元で受け取ったBNB、BTC、ETH、XRP、XYM、JPYCなどは、受取日ごとに数量と円換算額を控える。
- キャンセル、返金、チャージ失敗、ATM失敗などの例外取引は、通常決済と別行で残す。カード残高の流出や補償の受け取りがあった月は、事業者からの通知文も一緒に保存する。
- 12月は、12月31日時点の銘柄別の数量と時価も控える(財産債務調書の記載に使います)。
年末にまとめて復元しようとすると、カード明細、ウォレット履歴、取引所履歴の時刻がずれてかなり手間がかかります。少額利用でも、最初の1カ月だけテンプレートを作っておくと継続しやすいです。
海外のカードやウォレットに置いている分の扱いも押さえておくと安心です。国税庁のFAQでは、暗号資産は保有者の住所の所在で国内外を判定するため、国外の取引所に預けていても「国外にある財産」には当たらず国外財産調書の対象にはならないとされています。その代わり、12月31日に暗号資産を保有していれば財産債務調書への記載が必要で、預け先が国内か国外かは記載の要否に影響しないとされています。調書そのものの提出義務があるかどうかはご自身の所得・資産の要件で決まるため、判断が必要な場合は所轄税務署か税理士にご確認ください。
免責
税務上の扱いは個別事情で変わります。このページは一般的な整理であり、税務アドバイスではありません。大きな金額を利用する場合や判断に迷う場合は、税理士または所轄税務署へ相談するのが安全です。
このページで触れている国税庁のFAQは「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」の令和7年12月改訂版(令和7年12月26日公表)で、同FAQに記載のとおり令和7年12月1日現在の法令・通達等に基づいて作成されたものです。制度改正の部分は金融庁・財務省・国会の公表資料を2026年8月31日に確認しています。ただし施行日は政令で定められるものがあり、今後変わる可能性があります。最終的な判断の前には、下の公式ソースで当日の記載をご確認ください。
よくある質問
利用前に、まず何を確認すべきですか?
まず公式サイトまたは公式アプリで、対象地域、カード発行可否、手数料、年会費、還元条件、申込・入金・決済画面の表示を確認します。条件が読めない場合は、申込や利用に進まず、公式ヘルプとアプリ表示を照合してください。
利用後に残しておくべき記録は何ですか?
申込画面、KYC状態、入金・利用履歴、カード明細、手数料表示、ポイントやキャッシュバック付与、日時、通貨、数量、円換算額、TXIDや明細番号を月別に保存します。問い合わせや税金整理で、どの時点の費用・還元かを確認しやすくなります。
公式情報とアプリ表示が違う時はどちらを優先しますか?
申込、入金、決済、還元の直前は公式サイトまたは公式アプリの最新表示を優先します。当サイトの解説は確認順の整理として使い、最終判断は公式画面で行ってください。
2026年7月の法改正で、暗号資産の税金は20%の分離課税になったのですか?
2026年8月31日時点では、まだ適用されていません。暗号資産の譲渡や使用による所得は、国税庁のFAQのとおり原則として雑所得(その他雑所得)に区分される総合課税のままです。20%(所得税15%・個人住民税5%)の申告分離課税は「所得税法等の一部を改正する法律」(2026年3月31日公布)で創設されていますが、財務省の令和8年度税制改正の大綱では「金融商品取引法の改正法の施行の日の属する年の翌年の1月1日以後」に行う特定暗号資産の譲渡等から適用するとされています。その金商法改正法(2026年7月23日公布)のうち暗号資産に係る規定は公布から1年以内の施行とされており、2026年8月31日時点で施行されていません。
海外のクリプトカードに置いている暗号資産は、国外財産調書に書きますか?
国税庁のFAQでは、暗号資産は保有者の住所の所在で国内外を判定するため、国外の暗号資産取引所に預けていても「国外にある財産」には当たらず、国外財産調書の記載対象にはならないと説明されています。一方で、12月31日に暗号資産を保有している場合は財産債務調書への記載が必要とされ、預け先が国内か国外かは記載の要否に影響しないとされています。調書そのものの提出義務があるかは所得や資産の要件で決まるため、所轄税務署または税理士にご確認ください。