2026年9月12日にGnosis Pay公式ヘルプを再確認した時点でも、日本は現行の居住国対応リストには入っていません。対象は欧州・中南米を中心とする37か国で、JapanはCountries Coming Soonに掲載されたままです。日本在住者は申し込みできません。また、Gnosis Pay本体は事業者向け(ホワイトレーベル)に軸足を移しており、個人の申し込みはパートナーアプリ(Rebind・Greencart・MiniPay・Picnic)経由に一本化されています。あわせて、公式が「最大5%」と案内している現行のキャッシュバック制度は2026年9月30日で終了予定で、しかも還元率はGNOの保有量に応じた段階制です。日本在住者は、今すぐ発行するカードではなく、対応開始とその時点の還元制度を見てから比較する候補として扱います。
日本対応は「coming soon」と読む
Gnosis PayのEligible Countriesページ(公式表示の更新日は2026年5月28日)は、Current Supported Countries of Residencyとして37の国・地域を列挙しています。内訳は欧州(オーストリア、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、スイスなど)と中南米(アルゼンチン、ブラジル、コロンビア、メキシコなど)が中心です。その別枠でCountries Coming Soonがあり、日本は米国・カナダ・オーストラリア・UAE・タイなどと並んでこちらに掲載されています。
これは、日本で発行開始済みという意味ではありません。公式は「対象国の法的居住者であること」を発行条件として明記しているため、2026年9月12日時点で日本在住者はGnosis Pay Cardを申し込めません。公式は対象国が増えた際に通知を受け取る待機リスト(waitlist)への登録を案内しています。日本在住者は、待機リスト、居住国の表示、KYCの対象国、公式ページの更新日を確認します。
なお、カードの利用が禁止されている国・地域は別のリスト(22か国・地域)で管理されており、日本はそこには含まれていません。つまり「対象国の居住者が発行したカードを日本で使う」ことは制度上は妨げられていません。妨げられているのは日本在住者による発行です。この2つは混同しやすいので分けて理解します。
会社としてはB2B(ホワイトレーベル)側に軸足を移しています
もう一つ、日本の読者が押さえておくと見通しが立てやすい変化があります。2026年9月12日時点のgnosispay.comは、個人向けにカードを売るサイトではなく、事業者向けのホワイトレーベル基盤を売るサイトになっています。トップページの見出しは「ステーブルコインのカードプログラムを数分で立ち上げる」で、目立つボタンは「Book a demo」と「View API docs」です。料金ページもウォレット事業者・ネオバンク・暗号資産取引所・決済事業者向けの個別見積で、2〜3年契約が前提と書かれています。以前このガイドから案内していた個人向けの案内ページ(gnosispay.com/card)は、現在は/appsへ転送され、独立した案内ページとしては存在しません。
個人の申し込み導線は公式の「Partner apps」ページに集約され、「新しいGnosis Pay Cardの申し込みや既存カードの管理は、信頼できるパートナーアプリを通じて行う」と案内されています。2026年9月12日時点で掲載されているのはRebind、Greencart、MiniPay、Picnicの4つです。いずれも日本を対象とする案内は確認できませんでした。この構図は、日本対応が「Gnosis Pay本体が日本で個人向けに開業する」形ではなく、「日本を対象にするパートナーアプリが現れる」形で来る可能性を示唆します。ただしこれは公式が明言したものではなく、あくまで現在の事業の形からの見立てです。
自己管理型Visaカードとして、仕組みが他カードと違う
公式ヘルプでは、Gnosis Pay CardをSafe Smart Accountに紐づく自己管理型Visaデビットカードとして説明しています。EURe・GBPe・USDCeといったステーブルコインを自分のSafeから直接使う設計で、事前チャージや預け入れを必要としない点が、残高を発行基盤側に預けるタイプのカードとの大きな違いです。カード自体は英FCA登録の電子マネー発行者Monavate Limitedが、Visa Europeのライセンスに基づいて発行しています。
| 項目 | 公式説明の要点(2026年9月12日確認) | 日本からの確認行動 |
|---|---|---|
| 対象国 | 現行37か国は欧州・中南米中心。Japanはcoming soonのままで申込不可 | 待機リストと公式ページの更新日を保存 |
| カード | Safe Smart Account連携のVisaデビット。発行元はMonavate Limited(英FCA登録EMI) | ウォレット、KYC、発行会社、資金移動を確認 |
| Apple Pay | 対象はEEA・スイス・ジブラルタル・英国・ブラジルで発行されたカード。追加手数料はなしと明記 | 日本発行分の扱いは未案内。対応開始時に再確認 |
| Cashback | GNO保有量に応じた段階制(ベース最大4%+OG NFT 1%=最大5%)。2026年9月30日終了予定 | 必要GNO量、週間上限、終了後の後継制度を確認 |
還元について、日本の読者が最も誤解しやすいのがこの「最大5%」です。公式のIntermediary Cashback Programme(2025年11月9日開始)は、Safeに保有しているGNOの量によって還元率と週間の対象利用額が変わる段階制で、5%に届くのは100 GNO以上を保有し、かつOG NFTを持っている場合だけです。GNOは価格変動のある暗号資産で、保有そのものに価格変動リスクがあります。
| 必要GNO保有量 | ベース還元率 | OG NFT加算後 | 還元対象の週間利用上限 |
|---|---|---|---|
| 0.1 GNO以上 | 1% | 2% | 250 |
| 1 GNO以上 | 2% | 3% | 375 |
| 10 GNO以上 | 3% | 4% | 500 |
| 100 GNO以上 | 4% | 5% | 1,250 |
週間上限は繰り越しできません。還元はGNO建てでGnosis Chain上のSafeへ週次で付与され、日曜〜土曜のスナップショット期間中の最低保有量で判定されます。ATMでの引き出し、銀行口座やウォレットへのチャージ、税金・公共料金・保険料の支払いなどは還元の対象外と公式に列挙されています。原資はGnosis DAOではなくGnosis Ltd.が負担しています。
そしてこの制度は2026年9月30日で終了予定です。公式は終了後について「パートナー主導の新しいインセンティブ制度を導入する」とだけ説明しており、2026年9月12日時点で還元率や条件は公表されていません。日本が対象国に加わる時期は未定であるため、日本で使えるようになった時点の還元制度は、この記事で説明している制度とは別物になっている可能性が高いと考えてください。
2026年6月の脆弱性事件は、自己管理型でも「見るべき層」があることを示しました
Gnosis Payは2026年6月1日に脆弱性を悪用される事件を経験しています。公式ポストモーテム(2026年7月3日公開)によれば、原因はカード用Safeに組み込まれていたZodiacのDelay ModuleとRoles Moduleにあり、署名検証で呼び出しの成否を確認していなかったため、偽の承認が有効と判定されてしまったというものでした。攻撃者が引き出したのは約150万ドル、別に約30万ドルが利用不能になり、Gnosisが損失を負担して利用者への返還を完了したと説明されています。カード決済と新規登録は一時停止され、2026年6月6日までに99%の利用者へサービスが復旧したとされています。
読み取るべき教訓は、「自己管理型だから安全」と単純化しないことです。Gnosis Payでは資産は利用者のSafeに残りますが、そのSafeにはカードが引き落とすための権限モジュールが組み込まれており、今回はその権限まわりのコードが弱点になりました。カードにチャージした残高を発行基盤側のコントラクトが預かるタイプのカードとはリスクの形が違いますが、リスクが無いわけではありません。日本対応が始まったときも、還元率だけでなく、こうした事故があった際に誰がどこまで補償するのかを確認する材料として見ておくと判断しやすくなります。
「手数料ゼロ」表示はFee Scheduleと制限を合わせて見る
Gnosis Payは取引手数料・ガス代・FX上乗せなしという訴求をしています。公式ヘルプ「Understanding Your Card's Fees and Limits」で2026年8月31日に確認できた範囲では、この訴求は概ね裏付けられていました。決済手数料はなく、ステーブルコインは1:1で使われ(10ユーロの買い物=10 EURe)、通貨換算にGnosis Pay独自の上乗せはなくVisaの為替レートがそのまま適用されると明記されています。カード決済にガス代もかかりません。ガス代が必要になるのは、Safeから別のウォレットへ送金するようなオンチェーン操作の時だけです。
一方で「ゼロ」ではない項目もあります。ATMは月5回まで、または累計200通貨単位まで(先に到達した方)が無料で、それを超えると1回につき2%がかかります。ATMの上限は1日500・1回250、決済の上限は1日8,000・1回5,000です(いずれもEURe/GBPe/USDCe建て)。紛失・盗難による再発行は4.99です。ATMでの引き出しはキャッシュバックの対象外である点も、還元目当ての利用を考える場合は重要です。
カード発行費については公式内で記述が食い違っています。手数料ページ(公式表示の更新日2026年4月27日)は「Card Order:FREE、物理カードの送料も無料」としていますが、申込手順のページ(同2025年8月15日)には「カード代金は30.23 EURe」という記述が残っています。新しい方の記載では無料ですが、日本が対応国に加わって実際に申し込む段階では、申込画面に表示される金額を必ず確認してください。
日本在住者の確認順
申し込めない期間は、公式の更新と比較軸を保存しておくことが実質的な準備になります。
JapanがCurrentではなくComing Soonにあること、ページの更新日を確認します。
待機リスト登録に加え、2026年9月30日以降の還元制度がどう告知されるかを見ます。
今すぐ使うならTria、KAST、RedotPay、Bitget Wallet Cardなど日本で申し込めるカードを優先します。
保存すべき記録
- Eligible Countriesの更新日、Current Supported Countries(37か国)、Countries Coming SoonのJapan表示。
- 待機リスト、居住国、KYC、メール通知、サポート返信。パートナーアプリ経由で日本対応の案内が出た場合はその告知。
- 2026年9月30日で終了予定の現行還元制度と、その後継として告知される制度の内容・開始日。
- Apple Payの対象発行地域、手数料ページの記載、カード代金の表示、カード発行会社(Monavate)の説明。
- 対応開始後は少額決済、GNO付与、円換算額、ウォレット履歴、税金整理用記録。
よくある質問
Gnosis Payは日本で申し込めますか?
申し込めません。2026年9月12日に公式ヘルプのEligible Countries(表示上の更新日2026年5月28日)を確認した時点で、対象は欧州・中南米を中心とする37か国で、日本は含まれていません。JapanはCountries Coming Soonに掲載されたままです。待機リストと公式更新を確認する段階です。
発行済みカードは日本で使えますか?
公式ヘルプではVisa加盟店で利用できる説明があり、日本は利用禁止国リスト(22か国・地域)に含まれていません。ただし加盟店やカードの状態によって変わりますし、これは日本在住者がカードを発行できるという意味ではありません。発行可否と利用可否は分けて見ます。
最大5% cashbackは確定ですか?
いいえ。公式の「最大5%」は、Safeに100 GNO以上を保有し、かつOG NFTを持っている場合の数値です。保有量が0.1 GNOなら1%(OG NFT加算で2%)で、還元対象の週間利用上限も保有量に応じて250〜1,250と変わります。さらにこの制度自体が2026年9月30日で終了予定で、後継制度の条件は公表されていません。
2026年9月30日以降は還元がなくなりますか?
公式は「パートナー主導の新しいインセンティブ制度を導入する」と述べているだけで、2026年9月12日時点で還元率も開始日も公表されていません。なくなるとも続くとも断定できない状態です。告知を待って確認してください。
2026年6月に何かトラブルがあったと聞きました
2026年6月1日に、カード用Safeで使われていたZodiacのDelay ModuleとRoles Moduleの脆弱性が悪用されました。公式ポストモーテム(2026年7月3日公開)によれば、引き出された額は約150万ドル、別に約30万ドルが利用不能になり、Gnosisが損失を負担して返還を完了、2026年6月6日までに99%の利用者へサービスが復旧したとされています。
日本対応開始までに何を比べるべきですか?
自己管理型である点、Safe連携、手数料とATM無料枠、その時点の還元制度、Apple Payの対象発行地域、税金記録、既存カードとの使い分けを比較します。
公式ソース
本記事の数値は2026年8月31日に以下の公式ページで確認しました。Gnosis Payは対象国と還元制度がどちらも動いている段階のため、Eligible Countriesと還元制度ページの更新日を必ず確認してください。